相続,遺言,後見

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任意後見制度

一般的説明

任意後見制度とは、本人の判断能力があるうちに、将来判断能力が不十分になった場合に、後見事務を任せる人と後見事務の内容を契約で定めておく制度です。後見事務を任せる人を本人が自由に決められる点で、家庭裁判所が選任する法定後見制度と異なります。また、任意後見契約書は公正証書で作成しなければなりませんので、一般的な委任契約とは異なります。

どのような場合に利用するの?

任意後見契約には、以下の3つのパターンがあり、本人の判断能力の程度や、本人がどのようなサポートを望むのかによって、使い分けることができます。

将来型 本人の判断能力が十分なうちに将来に備えて任意後見契約を結んでおくもの。
移行型 将来判断能力が不十分になった場合に備えて、任意後見契約を結んでおくとともに、同時に財産管理委任契約を結び、判断能力が十分なうちから財産管理を行ってもらうもの(判断能力が十分なときは、委任契約でサポートし、判断応力が不十分になってからは、任意後見契約へ移行するというもの)。
即効型 すでに本人の判断能力が低下しており、任意後見契約を結んですぐに、任意後見監督人の選任が申し立てられます。ただ、本人の判断能力がすでに欠けている場合は、契約を結ぶことはできませんので、法定後見制度を利用することになる場合が多いです。

手続き

任意後見制度は、本人やその親族が、財産管理に不安を感じられたり、誰かに財産管理を行ってもらいたいと考えたときに、財産管理を行ってもらいたい人と任意後見契約を締結することから始まります。

手続き

任意後見制度を利用すると、どのくらいお金がかかるの?

(平成21年1月現在)

以下のような費用がかかります。

契約発効後、判断能力が回復したらどうなるの?

このような場合で後見人が、本人の財産管理や療養看護をする必要がなくなれば、契約を解除することができます。ただ、再び、判断能力が不十分となった場合、契約を締結し直すのは煩雑ですから、本人の意思を尊重しながらも、契約を本当に解除するかどうかの判断は、慎重になされる必要があります。

元気な今も財産管理を誰かに頼みたいときは?

任意後見制度は判断能力が低下したときに発効します。ですから、判断能力が十分なときは、この制度で誰かに財産管理を行ってもらうことはできません。
そのようなときは、「財産管理委任契約」を結ぶことが考えられます。
例えば、財産管理委任契約とともに、任意後見契約を結んでおくと、判断能力が十分なときは、財産管理委任契約によって財産管理を行ってもらえ、その後、判断能力が低下してきたときは、任意後見契約によって財産管理を行ってもらうことができます(このような場合を、「移行型」といいます)。

死後の財産管理はどうすればいいの?

本人が亡くなった場合、任意後見契約は終了します。その場合、死後の財産管理や、お葬式、お墓の事務などを行う人がいなくなってしまう場合があります。
このような事態に備えて、任意後見契約を結ぶときに、死後の財産管理に関する委任契約を締結することが考えられます。「任意後見契約および死後の財産管理に関する委任契約公正証書」という契約書を作成し、本人が亡くなられた後に行ってもらいたい事項を定めることができます。
「元気なとき→判断能力な不十分なとき→亡くなられた後」のすべての場合の財産管理は、

「生前の財産管理委任契約+任意後見契約+死後の財産管理委任契約」

を結ぶことによりカバーすることができます。

このように任意後見制度は、他の契約と合わせて利用することによって、判断能力が十分な場合から判断能力が低下した場合、さらに死後の管理までサポートすることができ。様々なニーズに対して、柔軟に対応することができるものです。このような契約の締結を当初から専門家に依頼することは、皆様の事務管理や、財産管理に空白期間を生じさせないようにする有効な手段です。また、契約内容については、皆様の意思を最大限に尊重して決めることができますので、是非ご利用を検討してみてください。

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