労働事件

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労働関係トラブル

会社内で,あまりにも勤務態度の悪い社員がおりましたので,先日,解雇処分としました。ところが・・・。

  1. 「労働組合を名乗る団体から電話があり,団体交渉をするよう求めてきました。
  2. 「解雇した従業員が労働審判を申し立てたらしく,裁判所から申立書が届きました。

設例の場合,元従業員に対して行った解雇処分が,法律上認められる「解雇」として有効かどうかが重要になります。

法律によれば,「解雇は,客観的に合理的な理由を欠き,社会通念上相当であると認められない場合には,その権利を濫用したものとして,無効とする。」と規定しています(労働契約法16条)。
そうすると,設例のように,「勤務態度が悪い」からといって,当然に従業員に対する解雇処分ができるわけではありません。
法律上,(1)解雇の理由(2)解雇の相当性が必要とされています。

解雇の有効性の判断については,事案に応じてケースバイケースで判断する他なく,関係法令の検討のみならず,最高裁判所の判例や同種事案の裁判例の検討を踏まえた専門的知識を必要とします。
設例の場合にも,解雇の有効性を判断するにあたっては,会社の種類・規模,従業員の職務内容や勤務成績,会社が従業員に対した指導の有無・内容,従業員の勤務態度の不良の程度などの事情を総合的に考慮する必要があります。
そこで,従業員から解雇処分の効力を争われた場合(又は解雇処分の効力を争われると予想される場合)はあらかじめ弁護士に相談した方が良いでしょう。

労働組合への対応について

「会社が雇用する一従業員を解雇した」ということは,あくまで会社と当該従業員との間の問題であり,労働組合が「団体交渉」の名のもとに介入してくるのは,おかしいのではないかと思われるかもしれません。
しかし,会社が「会社と一従業員との間の問題である。労働組合が出てくるのは筋違いである。」ことだけを理由に労働組合との団体交渉を拒否すると,「正当な理由がなく労働組合との団体交渉を拒否した。」として,不当労働行為(労働組合法7条)とされ,労働委員会に会社の代表者が呼ばれ,従業員への謝罪を求められたりするなど,様々な制裁を受けてしまう場合もあり得ます。
したがって,会社側の対応としては,労働組合の要求に対して不誠実な対応を取るのは禁物です。
労働組合の要求に対して,どのような対応を取ったら良いのか,あらかじめ弁護士に相談するのが良いでしょう。

労働審判への対応について

労働審判は,およそ90パーセント以上の事件が,原則として3回以内の期日(通常約3か月から4か月程度)で終了し,通常の民事訴訟と比べて,「迅速に手続が終了する」という特色があります。
このような特色から,労働審判においては,第1回期日の手続が極めて重要となります。
労働審判手続は,第1回期日において,争点整理や裁判官による心証形成が行われてしまうからです(通常の民事訴訟では,第1回期日は,原告側が訴状を提出しただけで終了し,被告側の具体的主張は次回期日以降,という事案も珍しくありません。)。

そこで,会社としては,元従業員の主張に対して十分な準備をしたうえで,答弁書(申立書に対する反論を内容とする書面のことです。)を提出する必要があります。
労働審判手続は,申立書の提出から第1回期日までの期間が40日以内と決められており,答弁書の提出期限は第1回期日の前の1週間程度とされています。
そうすると,実際に答弁書の作成をするための準備期間は,せいぜい1か月程度しかないと考えるべきでしょう。
したがって,会社側の対応としては,申立書を受領してからすぐに,弁護士に相談・依頼したうえ,答弁書作成の手続に入るべきといえます。

(弁護士 髙橋裕,最終更新:平成25年11月6日)

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