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被害者の問題
自賠責保険と任意保険の違い
任意保険は,重傷事故の場合など,自賠責保険の支払限度額を超える保険金を請求されたときに備える保険です。自賠責保険の支払限度額を超えない場合は強制保険である自賠責保険を利用します。自賠責保険と任意保険の違いは次の通りです。
自賠責保険 | 任意保険 | |
---|---|---|
支払内容 | 対人のみ | 対人・対物・自損ほか |
過失の立証責任 | 加害者にある | 被害者にある |
過失相殺 | なし(被害者に70%以上の 過失有の場合減額) |
あり |
被害者との示談 | 不要 | 必要 |
示談代行サービス | なし | あり |
請求先 | 保険会社 | 加害者(任意保険会社) |
自賠責保険の支払限度額
自賠責保険の支払限度額は一人あたり,死亡のときは最高3000万円,重度の後遺障害も最高4000万円,傷害は最高120万円,と定められています。一つの事故で被害者が複数の場合は,それぞれの被害者に一人あたりの限度額まで支払われます。また,後遺障害が残った場合は,そのレベルに応じて14段階の等級がつけれれ,それぞれに応じた後遺障害保険金が支払われるしくみになっています。
自賠責保険の落とし穴
ケガをしたり死亡しても,被害者に100%の過失があると賠償の対象外となり,相手の任意保険からもいっさい保険金は支払われません。また,自賠責保険には相手との交渉や保険金の請求などを手伝う制度もありませんので,たとえば,被害者側の過失が大きい事故や全治見込み1~2週間程度のような軽い事故の場合は,自賠責保険の支払限度額以内に収まりますので,加害者側(任意保険)の保険会社は原則としてなにもしてくれません。そうなると,自分の損害を賠償してもらうには,自分で加害者の自賠責保険へ被害者請求するしか方法はありません。
また,一方の言い分だけを採用した警察の調書をうのみにして査定されているケースもあり,国の制度だからと安心してはいられないのです。
納得できない通知結果には異議申立書を提出しましょう
自賠責保険の査定結果は出たが,「支払われた金額が少ない」「非該当として後遺障害が認められた無かった」「実際の症状に比べて後遺障害等級が低すぎる」「加害者は無責と判断を下されたが,このままでは死人に口なしで納得できない」など,納得できない場合は,必要事項を異議申立書に記入し,資料がある場合はそれを添付し,自賠責保険の保険会社に提出しましょう。また,自賠責保険の「支払通知」や「不払い通知」「後遺障害等級認定」等に納得できない場合は,「自賠責保険・共済紛争処理機構」に紛争処理の申請を行なうこともできます。
ひき逃げや無保険車との事故の場合
ひき逃げで加害者がわからない,また,加害者が自賠責保険や任意保険をかけずに運転していたため,賠償できないといった最悪のケースに,政府は,ひき逃げや無保険車による交通事故の被害者からの請求に応じています。ただし,自賠責保険と政府の保証事業は内容に異なる点がありますので,注意が必要です。
加害者が任意保険をかけていない場合
加害者が任意保険をかけていないケースにぶつかった時にはどうしたらよいのでしょうか?そんなときは,あなたの車にかけている任意保険の保険証券に「無保険車傷害保険」が契約されているかどうか確認してください。「無保険車傷害保険」は,無保険車に衝突されて,死亡または後遺障害を被り,自賠責保険の上限を超えた賠償額を請求出来る場合であるにもかかわらず,十分な損害賠償を受けられないときに使う保険です。
事故後の解決方法の3つの手段
事故後の解決方法として,「示談」「調停」「訴訟」の3つの手段があります。それぞれつぎのとおりとなっています。
1.示談
当事者同士がお互いに話し合って支払う額などを決め,示談書という約束の文書をかわして解決する方法です。示談書は、当事者の住所氏名、事故の発生日時、場所、態様、人損と物損の別、示談金額、支払い方法、将来の後遺障害などについて記載するのがよいでしょう。分割払いの示談や支払ってもらえるか不安がある場合は,信頼できる保証人をつけさせたり,あるいは,不払いの場合に直ちに差押えなどの手続ができるように,双方が公証人役場へ出向き,公正証書にしておきましょう。
2.調停
示談でまとまらない場合に,裁判官のほか調停委員と呼ばれる民間人が間に立って,話し合いを前提として,当事者の合意に基づく解決をしようとする制度です。手続方法は裁判所に調停の申立てをすることによる行います。
3.訴訟
調停が不成立だった場合や示談ではとうていまとまりそうもない場合に,和解か判決で解決する手段です。
交通事故でも健康保険は使えます。
病院によっては,健康保険指定病院なのに,「健康保険は使えません。自由診療になります。」というところもあるようですが,交通事故でも健康保険は使えます。もし,業務中や通勤途中に起こった事故であれば労災保険を,そうでなければ健康保険をつかいます。私は被害者なのに何で自分の健康保険を使うのかと疑問を持つ方もいらっしゃるとおもいますが,健康保険の場合,治療費計算の基準となる医療点数の単価は1点10円と決まっていますが,自由診療の場合は,病院ごとに単価を事由に決めて良いことになっているため,1点の単価は平均すると約20円です。つまり,治療内容はまったく同じでも請求額は2倍ほどになってしまうのです。重傷事故の場合,一晩で数百万円という請求が来る場合も珍しくありません。しかし,ケガの場合は自賠責保険で支払われる限度額は120万円ですので,被害者の過失が大きいときや,加害者が任意保険に入っていない場合は,残りの治療費を自己負担しなければなりません。ですから,治療費はできるだけ安くしておいた方がいいのです。また,たとえ相手の過失が大きいときでもどうなるかわわかりませんので,健康保険を使いましょう。
証拠をなるべく集めるように努めてください。
交通事故では,事故の事実関係(過失割合)が問題となるケースが多々あります。過失割合の判定はほとんどの場合、実況見分調書を元に判断されますが,被害者が死亡していたり、重傷を負っている場合は、一方の当事者の言い分だけを元に実況見分調書を作られることもあります。証拠の保全は警察だけに任せずに,事故直後から証拠をなるべく集めるように努めてください。事故直後に写真やビデオを撮影することができなかった場合には,時間が経つと事故現場の状況が変化してしまいますので,できるだけはやく現場に戻って、写真やビデオをたくさん撮って下さい。本人や家族が動けないときは,親戚や友人など,とにかく誰かに頼んで証拠を集めることに努めましょう。
病院は全ての検査をしてくれるわけではない
救急搬送された先の病院では,必ずしも全身をくまなく検査してくれるわけではありません。一見してわからない症状は,本人や家族が伝えない限り,他の部位までじっくり検査をしてくれることは少ないのです。事故から時間がたってから検査した結果,異常が発見された場合,事故との因果関係を立証するのは大変な事です。また,加害者側から事故との因果関係はないと言われてしまいます。後から後悔しないためにも,重傷以上の交通被害を受けた場合は,本人が伝えられない場合は家族から,全検査をしてもらうよう医師に伝えることが必要です。出来る限り,CTやMRIなどで精密検査をしてもらうと良いでしょう。