相続,遺言,後見
inheritance problem
遺言書の作成
遺言書の作成は必要ですか?
- 「たいして財産もないのに遺言書なんて・・。」
→分ける財産が乏しい場合の方が,熾烈な争いになることが多いです。 - 「子供たちは仲が良いのでうまくやってくれるはず・・。」
→その仲の良い子供たちが,相続が絡むとケンカになります。ケンカをさせないために遺言書を作成するのです。 - 「すでに大半の財産は,会社を引き継いでもらう長男に贈与(または安価で売却)してあります・・。」
→特別受益にあたります。遺言中で持戻し免除の意思表示をしておくなどの対策が必要です。
このように,一般の方の中には,自分は遺言書を作成する必要はないと誤解されている方が少なくありません。
様々な相続争いを見てきた経験から,特に「遺言書を作成しておいた方がよい。」と思う方は,たとえば,以下のような方々です。
遺言書を作成しておくべき方
- 不動産資産をお持ちの方
「自宅は長男に。」「A不動産は長男,B不動産は次男に。」といったように,不動産の行き先を決めておいてあげるべきです。調停,審判となると,誰がどれを取得するのかでケンカになった挙げ句,ケンカをした兄弟どうしで共有状態になるという事態も生じ得ます。 - 会社経営をしている方
生前贈与を検討すべき場合もありますから,方法は遺言だけに限りませんが,後継者の方に経営会社の株式や事業資産を集中させるよう工夫しておくべきです。会社の株も会社で使っている土地も,あなた名義の物は全て相続財産です。後継者が後継者以外の相続人から買い戻すのは大変な負担ですし,売ってくれる保証もありません。 - 法定相続人が大勢いる方
わずかな預金であっても,銀行が相続の発生を知れば,相続人全員の同意をもらわないと払戻しを受けられなくなります。公正証書遺言があり,遺言執行者を指定しておけば,遺言に基づいて払戻しを受けることが可能になります。
どのような遺言書を,どのようにして作成するべきか。
ともかく1度は,信頼のおける弁護士に相談してみてください。
残念ながら,遺言が失敗作となっても,相続開始の時にはいませんから,あなたが失敗だったかどうかを検証する機会はありません。
せっかく作るのですから,是非,有意義なものに仕上げていただきたいです。
以下は,「失敗遺言」の例です。
「失敗遺言」の例
無効な自筆証書遺言
ワープロで作ったり,日付が無かったり,民法上は自筆証書遺言に厳格な形式を課しており,必要な形式を欠く遺言は無効になります。
争いの火種となる遺言
本人は××という意味のつもりで書いても△△という別の意味にも取れる解釈上疑義のある遺言,遺留分減殺請求をされることをわかっていながら全く配慮を欠いた遺言など,「これならむしろ無い方が良かった。」と思う遺言もないわけではありません。
登記できない遺言
地番がきちんと記載されていなかったり,正しい法律用語が用いられていないと,遺言書のまま登記をすることができず,そのために調停や裁判が必要になることがあります。面倒な手間はできるだけかからないようにしてあげてください。
税金を無視した遺言
遺言で不動産だけを遺贈して納税資金に配慮していないとか,ちょっとした工夫で節税できるのに,わざわざ不利な選択をしている遺言書も少なくありません。遺された方が,できるだけ税金で苦労しないようにしてあげてください。
隠された遺言
いくら完璧な遺言書を作っても誰かに隠されて日の目を見なかったら意味がありません。遺言の管理者や,遺言の執行者を誰にするかについても,気を配る必要があります。
当事務所の相続相談~遺言書作成等サービスの特色
- 高度な専門性の確保
当事務所には,多数相続案件の経験を有する弁護士,司法書士の資格を有する弁護士,公証人経験を有する弁護士がいます。 - 依頼内容に応じた費用請求
法律相談を受けていただければ,ご希望により方針を示した上,依頼内容ごとの見積書を提示させていただきます(「方針とお見積り」参照)。 - ワンストップサービス
法律はA弁護士事務所へ行き,税務はB税理士事務所へ行き,登記はC司法書士事務所へ行くのでは,疲れてしまいます。当事務所に来ていただければ,当事務所内において,連携する税理士への税務相談や申告依頼,司法書士への登記相談や登記依頼も可能です(なお,税理士,司法書士と皆さんとは,直接の契約関係になります。)。 もちろん,従前からお知り合いの税理士,司法書士の先生がいらっしゃれば,その先生方と緊密に連携をとります。
コラム「相続一式?」
時折,「相続一式請け負います」という広告を見かけますが,弁護士以外の者が法律行為の代理をすることは弁護士法に,弁護士,税理士以外の者が直接税務代理を行うことは税理士法に,弁護士,司法書士以外の者が直接登記代理を行うことは司法書士法に触れるおそれがあります。代理の形式がとれないのであれば,結局本人名義で手続を行うことになるわけですが,「手続きを行ったのはあなたです」ということを理由に,内容に過誤があっても責任をとってもらえないおそれがあります。
当事務所で提供する各種サービス内容について
弁護士による専門法律相談
まずは弁護士が状況を把握し,問題点があるのかないのか,問題点がどこにあるのかを指摘し,アドバイスをいたします。医療でいえば「初診」にあたります。
正確に状況を把握できることが前提ですので,できるだけ相続人や相続財産に関する資料をお持ちになることをおすすめします。
相続人や相続財産の内容をメモなどにまとめておいていただけると,時間の節約になります。
法律相談料:30分あたり5000円(税別)
弁護士による出張法律相談
お身体が悪く,「法律事務所や法律相談センターには行けない。」と諦めたりはしていませんか?弁護士が,自宅や病院へ出張しての法律相談も可能ですので,お電話にてご相談ください。
法律相談料+出張日当:たとえば,往復1時間+相談1時間の場合,併せて2万円程度。
相続人の調査
法定相続人が誰になるのか,きちんと把握できていますか?
「幼いときに別れた子どもは関係ない。」「戸籍だけの妻には相続権はない。」などと勝手な判断をしていませんか?
安否や所在不明の親族がいる場合でも,法律上可能な範囲で調査いたします。
生死すら不明の場合には,失踪宣告等の手続を行うことも検討することになります。
弁護士費用:法律相談時に事案を把握した上,事前に見積額を提示いたします。
失踪宣告,遺言書作成等の依頼を受けた場合には,同手続費用で相続人の調査を行います。
相続財産の調査,整理
ご自分の財産をきちんと把握できていますか?
現金・預金はわかりやすいですが,「田舎に兄と共有の土地があるんだが・・」というケースや,「自社株を相当数持っているがいくらになるのか・・」というケースも多いです。
どのような相続財産を所有されているのか,その価値はいくらなのか,必要があれば可能な範囲で調査いたします。
弁護士費用:法律相談時に事案を把握した上,事前に見積額を提示いたします。遺言書作成の依頼を受けた場合には,同費用に含みます。
遺産分けのアドバイス(継続的な法律相談として)
上記1,2をふまえ,遺産分割案について,弁護士の立場でアドバイスをいたします。
ご希望があれば,遺産分割案についての意見書(遺言書や遺産分割協議書ではありません。)も作成いたします。
たとえば
・相続人がもめないように配慮した遺産分割方法
・経営会社の後継者に配慮した遺産分割方法 ・・・など。
法律相談料:30分あたり5000円(税別)
(意見書を作成する場合には,作成に要する時間も加味します。)
税理士による相続税対策相談
上記1,2,3をふまえて,必要があれば,相続税に詳しい税理士に来てもらい,相続税対策の視点からも検討してもらいます。
ワンストップサービスを実現する観点から,協力税理士による税務相談も,希望があれば当事務所内で行うことも可能です。
税務相談料:案件ごとに担当税理士から提示していただきます。
公正証書遺言の作成
「本人が書いていない。」「無理矢理書かされたものだ。」「遺言書が隠されたまま見つからない。」など,後日の紛争防止のためには,公正証書遺言の形式がもっとも有効です。
遺言書の作成についてご依頼があった場合,まず弁護士が,相続人と相続財産について可能な調査をし,皆さんと相談しながら,皆さんの希望を反映した遺言書案を作成いたします。
その後は,公正証書遺言として完成するまで,公証役場と連絡調整を含めて,弁護士が最後まで責任をもって対応します。
お体が悪く,外出ができない場合には,公証人にも出張してもらい,自宅や病院で公正証書遺言を完成させることも可能です。
弁護士費用:10万円(税別)~。遺言の内容による。事前に見積額を提示いたします。なお,弁護士費用のほかに,公証役場の手数料がかかります。(同手数料については,公証役場のHPをご覧ください。)
任意後見契約書の作成
公正証書遺言を作成される場合,遺言書の作成と併せて,万が一のときのために後見人となられる方(妻,夫,子,弁護士など)を契約により指定しておかれる方が増えています。
もちろん,後見人を必要とすることなく生涯をまっとうされる方のほうが多いわけですが,いざ後見が必要となったときには,誰を後見人にするかでもめる場合もあります。
誰が任意後見人になるかでもめたり,希望しない人に後見人に就かれることを回避するためには,任意後見契約書を公正証書で作成し,予め後見人を指定しておくことが有効です。
任意後見契約書も,皆さんが後見人に期待することに応じて,契約内容が異なります。
弁護士が,皆さんと相談した内容を反映した任意後見契約書案を作成し,公正証書による任意後見契約書として完成させます。
任意後見契約書が完成するまで,公証役場と連絡調整を含めて,弁護士が,最後まで責任をもって対応します。
弁護士費用:10万円(税別)~。任意後見契約の内容による。事前に見積額を提示します。
遺言書の書換
遺言書は,その方式を問わず,最後に作成したものがもっとも有効な遺言書になります。
すでに遺言書を作成されている方でも,相続人や相続財産に,大きな変更が生じている場合には,見直すことが必要です。
弁護士が,皆さんの要望を聞きながら,現在の状況やお気持ちを反映させた新たな公正証書遺言を作成いたします。
弁護士費用:10万円(税別)~。遺言の内容による。事前に見積額を提示いたします。なお,弁護士費用のほかに,公証役場の手数料がかかります。(同手数料については,公証役場のHPをご覧ください。)
遺言執行者の事務
遺言の内容を実現するためには,遺言執行者,つまり,遺言の内容をきちんと実行してくれる人を予め選んでおくことが大切です。
信頼できる方や,登記や銀行手続をしてもらうのに適切な方がいない場合には,遺言で弁護士を遺言執行者に指定しておき,弁護士に遺言執行事務をさせることも可能です。
弁護士費用:遺言の内容(相続財産,相続人の数,想定される事務量)による。事前に見積額を提示します。お亡くなりになった後で,予め遺言書で指定された金額を相続財産の中から受領することになります。
任意後見人の事務
任意後見契約書で,任意後見人を弁護士に指定しておき,弁護士に後見事務をさせることも可能です。
弁護士費用:契約の内容(管理財産の数・額,想定される事務量)による。事前に見積額を提示します。後見開始の決定を家庭裁判所がした後で,予め契約上指定された金額を管理財産の中から受領することになります。
税理士への相続税の申告依頼
相続発生後10か月以内に,相続人は,相続税の申告を行い,納税をする必要があります。
相続税の申告について,相続人の事務能力に不安がある場合など,ご希望があれば,当事務所内において,相続人が申告する際のことについて,事前に税理士に相談・依頼しておいていただくことも可能です。
協力税理士であれば,弁護士が調査をして得た資料をスムーズに税理士に引き継ぐことができますし,その逆も可能になりますから,連絡や調査の無駄を省くことができます。
税務代理費用:税理士に依頼する内容による。(なお,税理士と皆さんとの直接の契約関係になります。)
司法書士への登記手続の依頼
有効な遺言があるのであれば,相続開始後は,すみやかに登記手続をすませるべきです。
当事務所において,必要な登記手続について,司法書士に相談・依頼していただくことも可能です。
登記手続費用:司法書士に依頼する内容による。(なお,司法書士と皆さんとの直接の契約関係になります。)
(弁護士伊東克宏,最終更新:平成25年11月13日)