相談、依頼について
about consultation
法律相談を受ける際の準備と心構え
法律相談を有効活用していただくために,弁護士の立場からお願いしたいことを書かせていただきます。
「準備と心構え」などと偉そうですが,「そうしていただいた方がよいですよ」という程度にお聞きください。
- メモがあると時間の節約になる。
- 正しい判断のためには,関係資料はできるだけ全て持参する。
- 有利不利にかかわらず,全ての事情を話す。
メモがあると時間の節約になる。
たとえば・・・
相談者:相続の問題でして,私には父と母がいまして,父は福岡で生まれたのですが,父は養子に入っていまして,父の養父が先日他界したのですが・・・私は3人兄弟なのですが,弟は早くに亡くなって・・・(延々)。
全ての相談にメモが必要というわけではありませんが,複雑な事案や,経過が長い事案などでは,メモにまとめていただくことをおすすめします。
最近では,「話し下手なので・・」などと遠慮がちに,相続人の関係図,簡単な経緯,現場の図面,質問事項などを見せてくださる方が増えてきました。
弁護士の立場からすると,事案の概要や,相談者の方が何に悩んでいるのかを早く把握でき,非常に大変助かりますし,相談者の方にとっても,相談時間が有意義なものとなります。
時間の節約のためですので,メモの内容は,汚い字であっても不完全な内容であっても全然かまいません。相談の際には,相談者の方が目の前にいてくださるわけですから。
関係資料は全て持参すること。
たとえば・・・
相談者:家賃を滞納している人がいましてね。
弁護士:賃貸借契約書は持参していますか。
相談者:今日は自宅に置いて来ちゃいました。
と言われる方・・・結構いらっしゃいます。
弁護士とすると,無催告解除が認められる契約書になっているのか,契約書には解除事由としてどんなことが書かれているのか,保証金の金額など,きちんと契約書を見て確認した上で,正確な回答をしたいと思います。
契約書が目の前にないと,
弁護士:「この点は契約書ではどうなっていましたか?」
相談者:「たしかこう書かれていました。」
弁護士:「仮にそう書いてあったのであれば・・たぶん・・」
みたいなやりとりになってしまいます。
相手方から届いた請求書や訴状,契約書など,重くて持ち運べない場合は以外は,関係する資料は全て持参していただいた方がよいです。
有利なことも不利なことも最初から全て話すこと。
たとえば・・・
相談者:妻が不倫をしていることがわかりまして,離婚をしたいと考えているんですが。
弁護士:裁判上の離婚原因としては,・・・証拠としては・・・(15分経過)。
相談者:それでね,実は先生,この3か月前に,私の方も妻に浮気の現場を押さえられていまして。
弁護士からすると,事案を把握した上で,できるだけ充実した回答をしようと説明を尽くすのですが,ひとしきり説明したところで前提をひっくり返されてしまうと,それまでしてきた説明が無駄になることがあります。
相談者の方にとっても,有利な情報だけを弁護士に与えて,その場限りで都合の良い結論を引き出したところで,意味がありません。
弁護士が相談時に得た不利な情報を誰かに開示することはありませんし,たとえ不利な情報があっても,可能な限り上手な組立てを考えることも,弁護士にとっては必要な仕事です。
有利な情報ももちろん大切ですが,不利だと思う情報もどんどん弁護士に提供してみて,「それでも自分の請求が通るのか」という視点をもって,法律相談を有効活用していただきたいと思います。