弁護士 伊東克宏のブログ
Katsuhiro Ito's Blog
改正ストーカー規制法(平成28年改正法)を活かす!
改正されたストーカー行為等の規制に関する法律(最終改正:平成28年12月14日法律第百二条)が,平成29年1月3日(禁止命令の改正について同年6月14日)から施行になりました。今回の法律改正は,平成12年にこの法律が出来て以来,2度目の改正になります。
平成28年改正の要点をまとめると,およそ以下のとおりになります。
- SNSでのメッセージの送信やブログへの書き込み,住居等の付近をみだりにうろつく行為を「ストーカー行為」を認定する前提となる「つきまとい等」の対象行為に含めたこと(2条1項1号,2項)
- 「ストーカー行為」や「つきまとい等」をする者に対して情報提供する行為が禁じられたこと(7条。直接の罰則規定はないが,違法であると明示されたことは進歩。)
- 保護,捜査,裁判等に携わる者は,たとえ職務上であっても,被害者の安全確保,秘密保持に配慮しなければならないとされたこと(9条)
- 被害者の告訴が無くても「ストーカー行為」について捜査,起訴,処罰できるようにし,かつ,法定刑を倍に引き上げたこと(18条~20条。禁止命令違反については,懲役刑を加えた。)
あまり周知されていませんが,今回の改正によって,従来のストーカー規制法の弱点は,かなり改善されていると言えます。
具体的には,SNS上の行為なども規制対象になり,罰則も強化され,また,被害者本人が声を出せない場合でも,少なくとも法律上は,家族の方などからの被害届でも,ストーカー行為について捜査,起訴,処罰が可能になりました。
ストーカー規制法は,ストーカー行為による被害者を守るための道具ですから,ストーカー被害に遭われている方,そのご家族に是非,この法律を役立ててもらいたいと思います。
同時に,ストーカー行為をしている方,してしまいそうな方には是非,この法律を罪と責任を自覚する機会とし,一線を越える前に踏みとどまっていただきたいと思います。
平成29年9月28日 弁護士 伊 東 克 宏
2017年9月28日、カテゴリー:「日々あれこれ」(日記), 弁護士 伊東克宏ブログ
最新のエントリー