弁護士 伊東克宏のブログ
Katsuhiro Ito's Blog
「自粛」による倒産~「不要不急のキャンセル」をやめましょう。
先ほど,イベント会社が,コンサートの「自粛」中止により資金繰りが悪化し,倒産したとの記事を見ました。
前の日記に,震災直後の「ホワイトデー」の話を書きましたが,心配している状況が起こりつつあると感じます。
会社にとって,その時その時のキャッシュフローが流れているかどうかということは,死活問題です。
突然のイベント中止等により,予期せず「現金の流れ」を止められるということは,人間で言えば「心筋梗塞」に等しい話です(言葉が悪くて申し訳ありません。)。
業績の良かった会社でも,たまたまそのときの「現金の流れ」が停止することで,破綻してしまうケースは少なくありません。
もちろん,経営者たる者,ある程度はそういう不測の事態に備えておかなければならないはずですが,いまの雰囲気は,みんなで「自粛」ムードを盛り上げて,そういう事態を積極的に作り出そうとしているような気がしてなりません。
皆さんの回りでも,「自粛をする人は良識ある人。」,「こんな時期に送別会をやろうなんて言う奴は不謹慎。」,「飲み会をするくらいなら義援金を出すべきだ。」ということになってきていませんか。
実は,日頃経営者の方と接する機会が多いはずの,我々弁護士の間ですら,そういうことを言い始める人が出てきています。
「こういう時期だからキャンセルしても平気。」と簡単に言いますが,そのキャンセルの先には,予定の入金を当てにしていた経営者ばかりでなく,そこで雇用される従業員,その家族,もっと言えば,その店にお酒や食材を卸している会社,それらの生産者があることも,思い浮かべた方がいいと思います。
みんながそれをやり出したら,当然のことながら,経済全体が停滞します。
そのキャンセルが,まわりまわって自分にはね返ってきます。
ですから,「不要不急のキャンセル」も,止めるべきです。(「不要不急の買い物」だけでなく・・・)
「普段どおりに」やりましょう。
おそらく,経営者の皆さんの多くは,今,この状況に必死に耐えておられるのではないでしょうか。
ですが,そろそろ耐えきれなくなる会社も出てくるのではないか,震災ではなく「自粛」が会社の倒産を引き起こすのではないか,と本気で心配しています。
被災していない地域が,無理をしてでも元気でいなければ,義援金どころか税金すら支払えなくなり,復興支援どころではありません。
避難してきた方が,被災していない地域で働く場所を探そうにも,働き口を確保することができません。
被災していない地域が,元気な状態にあることは,立派な,また,基本的な復興支援だと思います。
こういう時期だからこそ,節電をしながら「送別会」をやってお金を落とし,その上で,「義援金」も集めたらいいんじゃないかと思いますが,いかがでしょう。
そういうわけで,私も無理をして,外にお酒を飲みに行きたいと思います。
(もちろん,ここまでの話は,この言い訳がしたかった,ということではありません。)
2011年3月24日、カテゴリー:「日々あれこれ」(日記)
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