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被害者の問題

損害賠償額について

損害賠償額の計算方法は

損害総額(傷害,後遺障害,死亡)×(100% - 過失相殺率)- 損益相殺額

となっています。

損害総額は次の3つ

を足したものです。以下に具体的項目等について記載します。

積極損害

事故が起こらなければ払う必要のなかった費用が認められる可能性があるので,費用については明細がきちんとかわるかたちで領収証をもらい保管しておきましょう。

診察料・入院料・投薬料・手術料・処置料・歯科治療費・護送費・交通費・看護料・入院諸雑費・義肢・義足・義歯・義眼・眼鏡・補聴器・松葉杖などの用具・診断書等の文書料・近親者の付添費・輸血の謝礼・事故によるかつらの購入費・被害者本人の結婚式,新婚旅行のキャンセル料・治療上必要と認められる場合の柔道整復師,あんま師,はり師,きゅう師,マッサージ師などの施術料・医師が必要と認め,その指導のもとに行なった温泉治療料・救助捜索費・応急手当費・捜索救援者への謝礼・介護料・住宅自動車等改造費・介護雑費・葬儀費など

入院料(差額ベッド代) 各地方によって認定される1日の上限額は自賠責保険の場合,1万2000円~1万4000円
護送費 自賠責保険の場合,事故現場から病院まで被害者を運ぶための費用で,タクシーなどをつかった場合の運賃や座席カバーのよごれを除くための費用など
交通費 通院・退院・転院に必要な費用で,状態によっては,タクシー・ハイヤーの使用が認められます。また,自家用車を使用した場合,自賠責保険の場合,燃料代として基本的には,15円/㎞が認められます。
近親者の付添費 自賠責保険の場合,医師の指示で親族が付添をした場合は,基本的には,付添費として4100円/日が認められます。付添人の休業損害がそれを超える場合は,その人の収入を証明する資料があれば,最高1万9000円/日までが認められます。また,被害者が12歳以下の子供の場合は,医師の指示がなくても母親または母親に準ずる人の「付添看護」が認められています。また,医師の指示により「自宅看護」をした場合や,幼児,歩行困難な被害者の通院付添をした場合は,自賠責保険の場合,基本的には,2050円/日が認められます。
入院中の諸雑費 療養に直接必要な諸物品であれば,自賠責保険の場合,基本的には,1100円/入院1日が認定されます。
看護料 自賠責保険の場合,基本的には,医師の指示で付添人(看護婦・家政婦)が付いた場合の費用が認められます。
介護料 重度の後遺障害が残り,他人の介護を受けなければ生活できない場合は,被害者の平均余命までの「介護料」が認められることがあります。
介護雑費 紙おむつや挿入用カテーテル,防水シートなど,「ひと月にこれくらいかかる」ということが立証できれば,将来の介護雑費も認められることがあります。
葬儀費 自賠責保険では60万円が支払われます。それを超える場合,「社会上通念上必要かつ妥当」な範囲で認められますが,100万円以内が一般的です。訴訟をおこした場合は150万円くらい認められることもあります。葬儀費には,祭壇料,火葬(埋葬)料,会葬礼状など葬儀当日の費用,通夜から初七日までの法要費用,特別な理由があるときのみ墓石,仏壇購入費などが認められることがあります。

消極損害

基本的には,事故によって現実に減収した部分だけが認められます。

a. 休業損害

給与所得者の場合

「休業損害証明書」に記載されている日数に日額(自賠責での日額~1万9000円(最高金額の場合))を掛けた金額が基本的に認められます。また,損害分の計算には給与以外のボーナスの減収分も含まれますので,ボーナスの減収分は別の「賞与減額証明書」によって証明します。日額の計算は,事故前の3ヶ月間の基本給+付加給(社会保険料・所得税を控除する前の金額)を90で割ったものとなります。

自営業など事業所得者の場合

休業日数は,実際に治療を受けた日数になります。しかし,ケガの内容によっては,治療期間の範囲内で,実治療日数の2倍を限度に休業日数が認定されます。日額は,職業証明書を提出することにより,自賠責保険では,定額である5700円が認定されます。それを超える所得がある場合は,前年度の所得証明書の内容に基づき,年間の収入から必要経費を引いたものを365で割って計算します。

専業主婦(主夫)やアルバイト等の場合

休業日数は,上記の自営業などの事業所得者の場合と同じです。日額は,専業主婦(主夫)の場合,自賠責保険では,定額5700円が認められます。「アルバイト」「パートタイマー」「日雇い労働者」「非常勤雇い日給者」で,1ヶ月の勤務が20日以上であり,かつ1日の就労時間が6時間以上で,収入の日額が5700円を下まわる場合は,自賠責保険では,定額の5700円が認められます。しかし,1ヶ月の勤務日数が少ないパートなどは,事故前3ヶ月の実収入を90で割り,日額を出します。

b. 逸失利益(後遺障害の場合)

後遺障害

治療を続けても医学上はこれ以上の回復の見込みがないと判断され,身体的に永久的な精神的・肉体的毀損状態を残すこと(症状固定)をいいます。事故からおよそ6ヶ月ぐらいで症状固定と判断されるケースが多いようです。後遺障害の等級は,基本的に医師の書いた診断書をもとに,損害保険料率算出機構の調査事務所でもっとも重い1級からもっとも軽い14級に認定されます。
後遺障害を負ったことによって事故前の労働ができなくなり,収入が減少するために失われる利益の事です。次の式で計算します。

収入額×労働能力喪失率×後遺障害確定時の年齢に対するライプニッツ係数

収入額

収入額の基準は次の3種類があり,被害者の年齢や職業によって用いる基準が異なります。

  • 死亡の1年前の実収入
  • 年齢別平均給与額
  • 全年齢平均給与額 男子41万5000円,女子27万5100円

労働能力喪失率

後遺障害による労働能力の低下に照らし,1級から14級までの等級別に決められています。

ライプニッツ係数

将来の収入を一時金で受け取るため,途中で発生する年5%の利息を複利で差し引く係数のことをいいます。

c. 逸失利益(死亡の場合)

次の式で計算します。

(収入額-本人の生活費)×就労可能年数に対応するライプニッツ係数

本人の生活費

死亡により被害者本人の将来の生活費がいらなくなるため,収入額からこの金額を最初から差し引くということになります。生活費の証明ができれば実額となりますが,ほとんどの場合証明が難しいため,次のように決められています。

被扶養者がいる場合 収入の35%
扶養者がいない場合 収入の50%

慰謝料

以下は自賠責保険の場合の計算となります。実際は,被害者が事故によって生じた精神的苦痛に対する損害賠償額となります。裁判では,加害者の虚偽証言により懲罰的な増額があった例もあります。

傷害慰謝料

自賠責保険では,4200円/日と決められています。これに日数を掛けるのですが,日数は,治療開始日から治療終了日までの「治療期間」と「実治療日数」(実際に治療を行なった日)を2倍した数と比べてどちらか少ない日数となります。

後遺障害慰謝料

自賠責保険では,等級に応じて定額が決まっています。介護が不要の後遺障害の場合,1級は1100万円,14級は32万円。1級から3級に限り,被扶養者がいる場合は,金額が高くなります。

死亡慰謝料

自賠責保険では,請求権を持った人の人数によって次のように決められています。また,被害者が家族を扶養していた場合は,遺族慰謝料に200万円が加算されます。

本人慰謝料 350万円(遺族が受け取ります。)
遺族慰謝料 請求権をもった人
1名の場合:550万円
2名の場合:650万円
3名以上:750万円

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