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被害者の問題
安易に示談にせず訴訟した方が良いケース
後遺障害が残るような重傷事故の場合は,傷害保険金の他に,後遺障害等級に応じて決められた保険金が支払われます。しかし,重度後遺障害の場合,現実には自賠責保険だけではとても足りません。加害者が任意保険に加入している場合には,不足分がそこから支払われることになります。任意保険は,損保会社が営利を目的にして行なっている事業で,当然のことながら慈善事業でも福祉事業でもありません。損保会社は「適正な支払いを行なう」という前提で,自社の支払基準をベースに計算してくるのですが,多くの場合,その提示額は,裁判所が最終的に認定する金額より,かなり低く押さえられているのが現実です。早々と示談してしまうと,半分にも満たない額で納得させられてしまう可能性もあるのです。
では,なぜ裁判によって,損保会社の提示額から,保険金額が大幅に増額するのでしょうか?
その理由としてまず考えられるのが,
「過失割合の逆転」
です。たとえば,当初は被害者側が8割悪いといわれていたけれど,事実関係を確認し立証したところ,逆に加害者側に8割の過失があったことが認められたようなケースでは,賠償額がかなりアップします。
もうひとつの理由は,各損害費目のアップです。以下に具体的実例を交えて記入します。
介護料
実例 1
従来は介護の必要なしと判断されていた → 火の危険がわからない,火の始末が出来ないなど,「看視」としての介護が必要だと主張 → 4000万円の将来介護料が認められた。 ← +4000万円
実例 2
78歳老人の症状が,老人性痴呆か高次脳機能障害なのかについて,医師の意見書を提出し,3700万円の介護費用が認められた。 ← +3700万円
逸失利益
実例 1
78歳で一人暮らし,家事従事者の自分の生活を維持するための家事労働の損害は休業損害と認められ,逸失利益が認められた。 ← +1300万円
慰謝料
実例 1
加害者が嘘をついたため,懲罰的な多額の慰謝料が認められた。← 約4200万円
過失割合
実例 1
過失割合が1審の60%から,東京高裁で15%に減らされた。
実例 2
過失割合が加害者が嘘をついていたため80%から5%と逆転した。
その他
実例 1
事故から1年2ヶ月後に被害者が自殺してしまった。しかし,加害者側の損保会社は事故と死亡との因果関係を認めなかった。遺族が訴訟をおこし,被害者の後遺障害の程度を専門医に分析しておらい,高次脳機能障害という傷害について,裁判所に十分な理解を求めた結果,事故との因果関係が8割と認められた。 ← +約5900万円
いずれにしても,示談するか訴訟をするかについては,ご自分で判断されずに,まずは弁護士に相談することをお勧めします。